損を避けるためにもっと損をする?損失回避性について

お金の雑学

損失回避性とは、何かを得する喜びは、損する悲しみには勝てないので、損を避けようとする心理です。損失回避性は、人間の脳に刻み込まれています。

太古の昔、狩猟をしていた原始人は、動物を目にしたときに、狩るか逃げるかという判断を瞬時にしないといけません。

例えば、トラに出くわしたら、肉をゲットして得をすることよりも死ぬ損失を避けて生き残るという判断を瞬時にする必要があります。ゆっくり考える時間はありません。

なので、無意識的に得するよりも損を避けることが脳に刻まれているということです。損失に対する苦痛は、得られる喜びの2倍以上に感じられるそうです。

ただ、この性質が現代では、より損失を生んでしまうケースもあります。この性質のことを理解していれば、一度立ち返って俯瞰で自分を見て冷静な判断ができるかもしれません。

競馬では最終レースで大穴に賭ける人が多くなる

損失回避性にのせいで損をするケースの一つは、競馬の最終レースで顕著に現れます。

競馬では最終レースを迎えたとき、平均的には負けている人が多いです。これは、競馬の還元率が約75%となっており、平均的にはー25%のリターンになるからです。

負けている状況だと、最後に負けを取り戻して「一発逆転」を狙いたくなる気持ちわかりますよね?どうせこのままじゃ負けて終わるからと。。。

この気持ちは、人間が損失の可能性が高い時によりリスクを取りたくなる性質があるためです。これは、人の損失回避性があるからです。

なので、最終レースを迎えたとき「損をしたくない!」という気持ちが働いてリスクを取ってでも一発逆転を狙って得をしたいので、大穴に賭けたくなります。

ところが大穴の当たる確率は、非常に低いのに人は実際より高く評価をしてしまいます。実際に当たる確率よりも3倍高く見積もってしまうそうです。

ここで気づいた方も多いのではないかと思いますが、損を避けるためにさらに損をする確率がどんどん高まってしまいます。

損をしそうという気持ちに関して人は過大に捉えがちなので、実際より大きく見積もってしまい、より損をする方向へと転がり落ちてしまいます。

投資でも起こる損失回避性の罠

人は株価が上昇したらすぐに売ってしまう一方で、下落した時に損失を確定させたくないので、保有し続ける傾向にあります。

これは、購入時の価格が心の中にセットされていて、それより収支がプラスで儲けた状態であれば、価格が下がってしまうリスクを避けたいのですぐ利益を確定したいという心理が働きます。

長期的には右肩上がりと想定されるような全世界株インデックス投資でも、すこしプラスになると利益を確定させたい(リスクを避けたい)ので、すぐ売ってしまう傾向があるということです。

上がったからと言ってすぐに売ることは、短期的には得したように見えて、長期的な目線で見ると損をします。インデックス投資であれば、最低でも10年以上は持ちたいですよね。特にNISAを使う場合、売買を繰り返すのは、非課税枠を無駄に消費して不利になります。

逆にマイナスの時は損失が出ているので、損失を確定させないためにどんどん株価が下がる状況でも売らずに持ってしまうわけです。

株価下落の際に最後まで売らずに上昇まで持ち続けられることがインデックス投資では一番いいのですが、ガクッと株価が下がりきった後に売ってしまうのが一番最悪です。

損切は、本能に逆らう行為とも言えるくらい難しい行動だそうです。

インデックス投資では損切は必要ありませんが、個別株では損切も必要になります。

現状維持バイアスー損切に踏み切れない理由

損切に踏み切れない理由として、「現状維持バイアス」というものがあります。

現状維持バイアスとは、元から与えられた選択肢を選びやすい傾向のことです。損切りした方がいい場面でも、現状維持の保有を続けやすくなるということです。

現状維持をしてしまう理由は、損切をすることを決断すると責任を感じてしまいますが、現状維持をすることは後悔を感じにくいそうです。

こういったバイアスがあることを知っておくことで、下落相場・上昇相場でも一旦、我に立ち返って冷静に判断できるようにしたいですね。。。

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