お金か?信頼か?究極の選択~羽田圭介さんのPhantomを読んだ感想~

昨日、羽田圭介さんのPhantomを読みました。

主人公は、外資系食料品メーカーの日本法人の事務職で働いている32歳の女性です。彼女は、眠れなくなると、複利計算をします。自分の給料250万円を5%の複利で計算すると、来年は262万円、再来年は。。。。と眠りに落ちていきます。

投資を最優先して、人間関係を壊していく主人公がたどり着くところとは?

お金か?信頼か?でぶつかり合う2人

主人公の人物像~投資ガチ勢~

実は主人公は、米国株高配当投資をしていて現在資産1500万円ほどあります。最終的な目標として5,000万円としていて、年利5%の配当金を得ることができれば、自分の給料と同じ額を配当収入から得られることを想像しています。

株に傾倒している主人公は、事あるごとに「お金」を「物や経験」か「投資」かを天秤にかけていきます。

あるとき結婚式の2次会の誘いが来るのですが、費用は1万円でした。もし、これを7%の複利で運用できれば、30年後には7万円になると瞬時に計算してしまいます。そして、将来の7万円と30年後の友情を天秤にかけて、主人公は7万円を取ります。

後にこのことがバレてしまいその友人とは疎遠になってしまいます。

物語が進む中でも、彼女はお金を投資にまわすことを優先して周りの人からの信頼を失っていきます。

主人公の彼氏の人物像

一方で主人公の彼氏は、彼女とは対極的な人物像です。彼氏は「お金」よりも「信頼や経験」を大事にしています。株への投資よりも自己投資を優先します。

「信頼さえあれば、お金なんてなくてもどうにでもできる。お金なんか使っちゃって幸せな体験に変換した方がいい。」という発言もあったりして主人公と衝突を繰り返します。

そして彼氏は、お金のない世界を作っているカルト宗教的なものにハマってしまいます。これ以降は、大きなネタバレになるので原著を読んでみてください。

面白いのが、「お金を取る彼女」と「経験や信頼を取る彼氏」が両極にいて、2人ともとーっても極端です。どっちの考えもいい面と悪い面があると思うのですが、行き過ぎると良くないのだと羽田さんは啓示してくれていると思います。

Phantomで共感した名言6選

主人公の名言

1.05掛けの複利計算をする。延々と行っているうち、数字の海の中で、ようやく華美の意識はまどろんでいった。

⇑主人公が眠れないときに、よくやっている複利を使った安眠方法です。複利の新しい使い方を見つけました。

タバコは買わないが、アメリカのタバコ銘柄は買う。水筒を持参しているからコークも買わないが、コークを作っているアメリカの飲料メーカーの株は買う

⇑主人公の同僚がタバコや飲み物を買っている時の、描写です。節約投資家の自分はとても共感できました。

自社株を買い、会社から搾取する側に回りたいという思いにかられた。

⇑会社の家賃補助が削られ、リストラがあった際の描写です。従業員の福利厚生が悪くなり、搾取される分、株で吸収したいという考えです。主人公はとても賢いですよね。

将来お金によりもたらされるであろうと予想された効用は、どこまで行っても実体のない、頭の中の可能性でしかなかった。それが思い切って使うことで、今そのものになった。

⇑物語の終盤での主人公の言葉です。物語を通して、お金を投資すること一辺倒だった考えが「お金を使う」大切さを学んでいます。どのように学んでいくかとても面白いので、本著を読んでみてください。

主人公の彼氏の名言

信頼さえあれば、お金なんかなくてもどうにでもできるんだって。価値があるうちにお金なんか使っちゃって、幸せな体験に変換した方がいいよ。

⇑人と人とのつながりの大切さとお金は使ってこそ価値が見いだせることを再認識させてくれました。

株の世界では月に何回かクリックするだけで稼げちゃう方がおかしくない?その80万円はどこから生まれたの?誰かが受け取るはずのお金を奪い取ったんじゃないの?

⇑投資をしない人からすると何もしていないのにお金をもらえるのはおかしいと思いますよね。改めて、客観的に見てみると確かに。。。と思ってしまいました。

この本を読んでいると、共感することや自分も考えている!と思うことが多すぎて、著者の羽田さんも投資をしているのだろうなと思いました。もし、していなかったら取材等をしっかりされているのに違いありません。

お金や人間関係の大切さについての捉え方が極端は良くないよね!どちらも大切だから中庸で行くのがいいのでは?と言われている気がしました。

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